Internal Wire Split Keyboard

インターナルワイヤー分割キーボード

専用PCBを使わず、内部手配線と3Dプリント構造で薄くまとめた分割キーボード。

インターナルワイヤー分割キーボードの構造
No dedicated PCB / Internal Wire plate Hot-swap sockets / low-profile structure

このページは制作途中のプロジェクト記録です。

内部配線式分割キーボードの設計・試作・検証内容を、完成に向けて 順次追加 しています。

Story

制作の背景

2025年11月、3Dプリンターを購入した勢いで分割キーボード作りに挑戦しました。

1か月で1号機は完成しましたが、見た目や操作感には納得できず、妥協しない形でもう一度作り直すことにしました。

仕事や趣味の合間での作業となり、設計に行き詰まって中断した時期もありましたが、約4か月を経て、ようやく完成しました。

薄さ

しっかりとした造りを保ちながら、できる限り薄くなるように設計しました。

壊れにくい配線

配線を本体の溝に収め、振動が内部配線へ伝わりにくい構造にしました。

メンテナンス性

すべての結合部をスナップフィット構造にし、分解・組み立てしやすくしました。

スイッチ再利用

PCBソケットを採用し、高価なキースイッチを再利用できるようにしました。3号機を作る気は今のところ起こりませんが、作り直しにも対応できます。

専用PCBなし

未知の領域だった専用PCBの設計を避けつつ、手配線でも薄さ・強度・メンテナンス性を両立できる構造を目指しました。

Important Note

短時間で作る方式ではありません

この方式は、初心者向け・量産向けの作り方ではありません。配線本数が多く、はんだ付け、導通確認、ケースへの収まり確認にかなり時間がかかります。

その代わり、配線を構造内に収めて固定することで、長く使えることを重視しています。

ハンドワイヤリングでも、薄くて綺麗に作りたかった。そのために、配線そのものを構造の一部として設計しました。

Overview

自作キーボードを、構造から作る

自作キーボードは、キー配列、ケース、配線、ファームウェアを自分の用途に合わせて作るキーボードです。この作品では専用PCBを作らず、3Dプリント部品の内部に配線を通して、薄型の分割キーボードとして成立させています。

専用PCBなし

キーごとの信号配線は専用基板ではなく、内部の手配線で構成します。

内部手配線

配線を外に出さず、プレートやベースの溝に通して固定します。

分割構造

左右ユニットを分け、手の位置に合わせて置ける構成にしています。

薄型

ロープロファイルスイッチとPCB用ホットスワップソケットを流用し、厚みを抑えます。

Concept

インターナルワイヤーという考え方

インターナルワイヤーは、配線を外に見せず、プレートやベースの内部に通すための設計方針です。従来のハンドワイヤリングで起きやすい空中配線を減らし、薄型化、外観の整理、配線経路の再現性を狙っています。

Specs

仕様

種類
分割キーボード
構造
インターナルワイヤー / 内部手配線
PCB
専用PCBなし
スイッチ
ロープロファイルスイッチ
ソケット
PCB用ホットスワップソケット流用
マイコン
Seeed XIAO RP2040
I/O拡張
MCP23017
ファームウェア
QMK
ケース
3Dプリント
特徴
薄型、内部配線、ホットスワップ、分割構造

Comparison

従来のハンドワイヤリングとの違い

配線をその場で支えるか、構造の中に先に固定するかです。

従来のhandwired

従来のhandwired配線の様子
  • 空中配線
  • 半田の難易度が高い
  • 見た目がスキルに依存する

インターナルワイヤー

インターナルワイヤー配線の様子
  • 配線は内部に固定
  • 半田は安定した状態で実施
  • 外観に配線が出ない

Structure

基板を使わず、薄型にまとめる

専用PCBを作らず、PCB用ホットスワップソケットを単体で固定して使います。電気的には手配線、構造的には3Dプリント部品でソケットと配線を保持する作りです。

専用PCBを使わない

キーマトリクスは内部配線で構成し、専用基板の厚みと発注工程を省きます。

PCBソケットを流用

本来PCB上で使うホットスワップソケットを、3Dプリント部品に固定して使います。

薄型に成立させる

ロープロファイルスイッチ前提で、ケースとプレートの重なりを低くまとめます。

ファームウェアはQMK

キーの読み取り、配列、レイヤーはQMKで設定します。配線図と設定の一致が重要です。

Process

制作手順

実作業の流れです。ここでは全体像に絞り、配線、QMK、確認、3Dプリント設計の細部は詳細ページに分けています。

01

ラフ図・構想作成

キー数、分割形状、サイズ感、薄さ、見た目の方向性を決めます。最初に「どんな構造にしたいか」を固めます。

キーボード外観のラフスケッチ
キーボードレイアウトの構想図

補足 ここで方向性が曖昧だと、後工程でやり直しが増えます。

02

配線図作成

キー配列、行列マトリクス、XIAO RP2040、MCP23017、左右接続の配線を整理します。

左手側の配線図とピン配置

補足 配線は意外とかさばるため、抜けや重なりがないか何度も確認します。

03

3Dモデリング

トップカバー、スイッチプレート、ベースプレート、ボトムケースを設計します。配線溝、ソケット固定部、ネジ穴、インサートナット位置も決めます。

3Dモデリング中のキーボード構造の別角度
Fusion360で作成

補足 ここで配線ルートも決まるため、この設計が全体の難易度を左右します。

04

部品購入リスト作成・ツール準備

スイッチ、PCBソケット、マイコン、I/Oエキスパンダー、配線材、ネジ、インサートナット、はんだ工具などを準備します。

補足 購入ミスがあると作業が止まるため、事前整理が重要です。

05

3Dプリント造形

実際にプリントして、寸法、強度、はめ合いを確認します。失敗や作り直しが出やすい工程です。

3Dプリント造形に使用したBambu Lab A1
使用したのはBambu Lab A1
3Dプリントしたキーボードケース部品
プリントしたモデルの実物

補足 3Dプリントは初めてのこともあり、何度も作り直すうちに、市販品を買った方が安かったかもしれないと気づく工程です。

06

ベースプレートへPCBソケットを接着

PCBソケットを所定位置に2液式接着剤で固定します。スイッチプレートとキースイッチで位置を合わせた状態で硬化させます。

ベースプレートへPCBソケットを接着している様子

補足 ソケット位置がずれるとスイッチの抜き差しが不安定になるため、固定前の位置合わせが重要です。

07

配線・はんだ付け

プレート内部の溝に配線を通し、位置決めした状態ではんだ付けします。配線経路を構造側で支えるのがこの方式の中心です。

インターナルワイヤー配線の様子

補足 ベースプレートのはんだ付けでは、突起ができないように配線を溝へ押し込みます。

仮配線での入力確認

仮配線の状態でマイコンとMCP23017を接続し、キー入力が認識されるか確認します。内部に組み込む前に、配線と設定を照合します。

仮配線の状態でマイコンとMCP23017を接続してキー入力を確認している様子

補足 内部配線では、組み上げてから不具合を探すと原因の特定が難しくなるため、途中段階での確認を行います。

08

プログラミング

QMKでキーマップ、マトリクス設定、I/Oエキスパンダー設定を行います。ハード構成とピン設定を一致させます。

ファームウェア設計概要

このファームウェアは、Take&Clock Works製分割キーボード向けに設計したQMKベースの制御プログラムです。RP2040を中心に、I2C接続のMCP系I/Oエキスパンダで左右のキーマトリクスを読み取り、4行×14列の分割キーボードとして動作します。Fnレイヤー、記号レイヤー、片手入力用のミラーレイヤーも備えています。

インストールと書き込み手順

QMK MSYS上でファームウェアをビルドし、生成されたUF2ファイルをXIAO RP2040へ書き込みます。

Details

詳しいメモ

長くなる技術説明は別ページに分けています。作る前に読むなら、配線、QMK設定、動作確認の順がおすすめです。

Follow / Download / Buy

制作記録と3Dモデル

制作記録を更新しながら、3DモデルデータをGitHubで公開しています。

01

Follow

制作過程や更新情報を公開していきます。

02

Download

3Dプリント用のモデルデータをGitHubで公開しています。印刷すると、写真のようなケース部品として組み立てに使えます。

GitHubで3Dモデルを見る
3Dプリントしたキーボードケース部品
3Dプリントしたモデルの実物
03

Buy

3Dプリンターを持っていない人向けに、プリント済みモデルの提供を予定しています。